遠雷

誰かにとっての花火に撃ち抜かれて此方

Change the worldの歌詞を考える

 SexyZone10周年アルバムのリード曲、Change the worldが解禁されました。
 この曲は全員がそれぞれ歌詞を書き、「これまで」と「これから」を力強く歌っています。

 いつか答え合わせができる日を願い、あまりのエモさに麒麟出のにわかおたくでも目頭が熱くなってしまう本作の歌詞について、想像を膨らませてみました。
 ※歌っている人がその部分を作詞したと仮定しています。

 ※マリくんパート(と思われる部分)は動画を参考にしています。

 

 ※すべて個人の妄想と曲解です。

 



(菊池)彼の日の空にかざした手のひらのその向こう
 あなたが笑うから

 →SexyZoneのデビュー曲、「SexyZone」の一節「空ニカザシタテノヒラ」から引用されています。
 デビューして以来、空にかざした手のひらの向こうにはあなた(太陽≒ファン)が笑ってくれていた。だから、苦しくてもつらくても頑張れた、ということでしょうか。だから~の後は妄想ですが、「頑張れた」とか明言しない辺りも風磨くんぽくてにくいなあと思います…。
 それにしても、開幕冒頭からエモの初速がえぐい。流石青春フェチの風磨くん。


(中島)ぶつかってカタチ変わって 見つけた個性
ありふれた日々に意味があったんだ

 →SexyZoneは現在も事務所内デビュー平均年齢最年少記録を保持している、非常に若いグループです。最年少のマリくんはデビュー当時11歳。最年長の健人くんでも17歳の高校生でした。
 青春も思春期もまっただなかだった彼らが、芸能界という荒波にもまれながら過ごしたSexyZoneでの10年間。楽しいことばかりではなかったはずです。
 10年の間で、このパートを歌う健人くんが「ぶつかりあった」と明言できる相手は、恐らく風磨くんなんじゃないかなあ~と想像します。


 アイドルの王道をゆく健人くんと、やんちゃでツンデレな風磨くん。「ふまけん」というシンメは、性格も趣味嗜好も何もかも正反対だけれど、それでもステージに立てばまるで双子のように息の合ったパフォーマンスを魅せてくれる、おたく的に言えば「運命で繋がれた」間柄。10年目の今はとっても仲良しですが、かつては氷河期と呼ばれる冷戦時代を過ごしたこともある仲です。(詳しくは各自で調べてください。ふまけん背中合わせが歌ってるエモ尊さの味わいが段違いになります)
 シンメとは、一番近くにいるライバル。同じグループにあっては、絶対的な味方で、最大のライバルでもあります。私は個性とは、誰かと比較する中で生まれるものと認識しています。身近な他人と比べることで、自分の欠点が浮き彫りになると同時に、自分にしかない武器や魅力もまたはっきりしてくるもの。ぶつかりあって、認め合って、相手を理解して、そして今、漸く見つけたそれぞれの個性。磨かれる個性と、成長する中で世界から吸収して身に着けていく個性。
 遊んだり眠ったり喧嘩したり、アルバムには貼り切りできないありふれた日常も、今の自分を形成する大切なピースだったと振り返れるのは、学生時代の悔しい経験も「今の中島健人を形作るためには必要だった」と全力で前を向き続ける健人くんらしい生きざまだと思います。かっこいい。


(佐藤)モノクロ心1116に染めて 繋がったあの日から
 わからなかった 転んでばっかで


 →勝利くんは、「5人」のSexyZoneを大切にしている子です。POP×STEP!?コンサートの挨拶でも、「5人で一緒にいられることが嬉しい」と大切そうに噛み締める姿が印象的でした。
 SexyZoneはかつて、デビューしたにも拘らず、中島・菊池・佐藤の3人体制をとっていた時期がありました。私はその当時を知りませんが、さぞメンバーもファンも苦悩したことと想像します…。しかも聡マリはグループ格差戦略を言い渡された当時、まだ多感な中学生だったはずなのに、よく折れずにめげずにひたむきに頑張り続けてくれたなと思います。感謝…。
 そして、聡マリがSexyZoneに戻り、晴れて5人体制として再出発した第二のデビュー曲(と個人的には思っている)が2015年リリースの「colorful eyes」。皆がそれぞれ苦しんだ3人体制というモノクロな時期を乗り越えて、またカラフルな世界に戻ってきた。5人でもう一度手を繋いだ。その喜びが、「5人でいること」を何よりも大切にしている勝利くんの想いが、ここにぎゅっと詰まっている気がします。
 しかもイイイロ=11月16日は、SexyZoneのデビュー日です。5人ではじまったSexyZoneが、もう一度5人に戻る日。泣かせます…。

 「わからなかった 転んでばっかで」についても、個人的には勝利くんの在りし日の癒えぬ苦悩を感じさせて目頭が熱くなるポイントです。
 最近はJr.歴二桁デビューの方もいらっしゃいますが、SexyZoneはJr.歴が長くて3年半、聡ちゃんに至っては11カ月でのデビューです。そのため、周囲からはエリートと目されていますが、本人達にとっては「10年間ずっと下積み」だったそう。華やかな経歴とは裏腹に、悔しい思いもたくさんしたみたいです。ステージ上では、そんな姿、おくびにも出さないですけどね。
 2020年のカレンダーインタビューでも、勝利くんは「デビュー当時、生放送でとちった自分の代わりに(グループ最年長の)ケンティーが怒られている姿を見ていることしかできなかった。その後ケンティーに謝りに行ったら、気にしなくていいよ、次は気をつけようね、と優しくされたことが忘れられない(※要約)」という話をしていました。10年前の傷を今も抱えている勝利くん…! 誰かに傷つけられても、やり返して誰かを傷つけたりはしない。ただ、高い理想に手を伸ばして、SexyZoneは走り続けている。ああ~もうむりです泣きます。優しい子なんです。優しい子たちなんです…。


(松島)カラフルな 花景色と 寄り添って 歩んで

 →聡ちゃんにとっても、やっぱり「colorful eyes」は思い出深い大切な曲っぽいことが察せられます。えも…。
 また花景色と聞くと、5周年のSTAGEコン最終日、スタッフさんの粋な計らいで、アンコールで横アリ約1万5千人のファンが真っ赤な薔薇を一斉にSexyZoneに捧げたという話が好きなので、それを踏まえているのかなあと思います。
 ぼくらSexyZoneの5人と、ファン。みんなで寄り添って、前に向かって進んでいく。ファンを大切にしてくれている聡ちゃんが今紡ぐに相応しい、やさしく、前向きな言葉です。

(マリウス?)きっと あなたは何も言わずに ”笑って泣いたんだ”


 →歌割的にマリくんパートはここかな?と推測します。
 わがままで自由な最年少と思われるマリくんですが、実はものすごく勉強家で、グローバルな視点を持っている子。現役大学生として勉学に励みながら、アイドル活動も精力的に続け、更にはアメリカの大学に勉強合宿に行きもするというこの多忙っぷり…。風磨くんにいじくられて拗ねているマリくんを見る機会が多い身からすれば、流石にマリくんちょっと休んで…と心配になってしまいます。
 「何も言わずに」笑って泣いた。つまり、ファンにはカメラの前で笑顔を見せていたいけれど、裏ではひとりの人間として色々考えて、迷って悩んで、それでもアイドルとしてステージに立つ道を選んでくれている。そういうことなのかなあと思いを馳せてしまって、ますますアイドルとして日々輝いてくれているSexyZoneの皆様には感謝しかないです…。私は推し崇拝型のおたくなので余計に…


(全員)Hey! 想いよ届け
Yeah! 夢に踊る
With you With you ほらおいで
何度も何度も挑むんだ

 さあ!We go! また踏み出そう
Yeah! 忘れてたStep
 Gift for you Gift for you もう笑って
 あの日々に夢見てた 現在(いま)を

→ここは全員。
 最近の彼らの言動として、世界進出を目指しているのは明らかです。「夢に踊る」はアイドルとして、エンターテイナーとして世界へ「挑んでいく」姿勢を表してっぽくて非常にわくわくします。がんばえ~!
 と同時に、それも受け手がいなければ意味がないことを「ほらおいで」とファンの手を引いてくれていることで表しているところに彼らの優しさがあふれているなあと思います。歌で想いを届けたい、ファンの皆をぼくらの歌で元気づけたい、5人で世界へ羽ばたきたい、のモチベーションが同じぐらい高いSexyZone、めちゃくちゃ倫理…。そして奇しくも、ファン投票で選ばれたアルバム曲「With you」の単語も入っています。
 SexyZoneはまだまだ夢の途中。だからこそ、「あの日に夢見た現在」がこれからも先、どんどん続いて、繋がっていくんでしょうね…。えも~…。



(中島)生まれた時代の中で光探して
 ほら、あなたに出会えた

 →「生まれた時代」は、恐らくデビュー曲「SexyZone」の「今生まれたこの時代の中で 僕ら光探している」の部分にかかっているんでしょうが、意識的か無意識的か、ふまけんふたりともデビュー曲にかけて作詞してんの激エモすぎでは?
 今は誰でもTikTokInstagramで世界にアピールできますが、12年前(健人くん入所時)はまだまだテレビ一強の時代。テレビでアイドルを「見る側」、観客のひとりだった健人少年が、アイドルを志して14歳で「テレビの中」に飛び込み、今や誰もが知る「ケンティー」として輝いてくれている、その道を今も走り続けてくれているという奇跡。感謝してもしきれません。
 そしてそんな手の届かないスーパーアイドル様になっても、ケンティーはファンを大きな集合体としてではなく「あなた」、たったひとりの「わたし」として見てくれている。少なくともそういう気持ちがある、と感じさせてくれるのは、とても謙虚で素敵だなあと思います。流石1日8000人と握手して、それぞれに神対応してみせたプロアイドル様です。触れ合えるのはたった数秒でも、一対一、「俺に会うためにわざわざ足の痛くなる可愛いヒールを履いて長時間待ってくれていた」と思えばこその精神でしょうが、握手する側だって指紋擦り切れちゃうよ~。
 個人的にはこの歌詞を聴くと、コンサート会場でペンライトを振っていたら突然ケンティーに爆裂個レス食らって崩れ落ちるみたいな図が浮かびます。光(ペンライト)を探す側になるために、「生まれた時代で光探す」=アイドルとしての道を模索する、と意味が何重にもかかっているのかなと想像すると、この一節だけで一晩潰せます。たのしい。


(松島)「君らしく」その言葉で 心の糸解けて


 →聡ちゃんは、2018年11月から2020年8月まで芸能活動を休止していました。
 風磨くんはPOP×STEP!?ツアー期間に密着されていたRideOnTimeのカメラに対して「松島は帰ってきてくれたけど、帰ってこない決断をする可能性もあった」と語り、そのうえで「帰ってきてくれた松島の決断を称えたいし、感謝している」との趣旨の発言をしていました。同様にマリくんも、「聡ちゃんがもしSexyZoneに帰ってくることがなくても、生きて、幸せでいてくれればそれでいい」と言っています。あ…愛…。こんなの愛以外の何物でもない…。
 聡ちゃんが何を想い、何に苦しみ、どんな重荷を背負っていたかは、ただのおたくには推し量れません。どれほど推測を重ねてもそれは憶測の域を出ず、真実に「成り代わる」ことはあっても真実に「届く」ことは決してありません。けれど、聡ちゃんはSexyZoneの松島聡として再びファンの前に姿を見せてくれました。今はそれがすべてだと思います。
 けれどもし、聡ちゃんが復帰する前、その背中を押してくれた言葉が、もしかしたら「君らしくていい」「聡ちゃんは聡ちゃんのままでいい」なのだとしたら。それが10周年アルバムのリード歌詞に持ってくるほどの言葉だったなら、縺れた心の糸をほぐすその言葉を贈ってくれた誰かに感謝したいですし、「聡ちゃんが好きなんだよ」「聡ちゃんだから好きなんだよ」といつか会場で声の限りに叫びたいです。
 余談ですが、個人的に、ヒロムの才能って「メンバー構成」と「大人になってこんなにかっこよくなると誰が思った?」だと思うんですけど、いやだって、正直22歳の松島聡さんがこんなにイケ散らかすなんていったい誰が想像できた…?(勿論デビュー当時もあどけなくて大変可愛らしい…夕飯ごちそうしてあげたい…)。中島担ですが、お顔は聡ちゃんがいちばん好きです。

 


(マリウス?)絡まった想いが クリアになった


 →SexyZoneは優しくて繊細で、とにかく優しい子が集まったグループです。FC限定の動画で、勝利くんから「マリからはじめたメッセージのやり取りをマリからぶったぎるのはなんで?」と尋ねられた時、「こう書いたらこう受取られるかもしれないなとか色々考えて、考えすぎて疲れちゃって、一旦ひとやすみするじゃない。そしたら時間が経ちすぎて、あーもうぼく嫌われたと思ってメッセージ送れなくなっちゃう(※要約)」と言っていて、私もよくその思考に至るけどそれコミュ障の考え方だぞ…?と思って胸が苦しくなりました。マリくん、なんてセンシティブボーイ…。
 弱冠11歳で「日本の皆を元気にしたい」というひたむきな思いを胸に異国にやってきて、言葉や文化の壁でたくさんの苦労をしてきたマリくん。SexyZoneのお兄ちゃん達にもみくちゃに可愛がられたり、最近はオスの顔で健人くんの肩を抱いたりする姿を見ると、マリくんの成長BeforeAfterの尊さに「ジャパニーズアイドルのエモさって(功罪込みで)こういうところだよな…」としみじみ感じます。
 絡まった想い、やりたいこと、あなたの未来、クリアになってますか。マリくんが聡ちゃんに贈った言葉を、おたくからも贈らせてください。「マリくんが生きて、幸せでいてくれたらそれでいい」。それでも、すぐじゃなくていい、いつかまた、SexyZoneに帰ってきてくれる未来がきたらいいなと、心から願っています。



(菊池)とにかくもう夢中で 重ねた10年 傷ついて傷つけて
背負い込んじゃって 投げ出したくて

 →ここの風磨くんパートも大概エモくて、私は初見でここが一番吹っ飛びました。
 傷ついて傷つけて、って、風磨くんが明確に傷つけたのって氷河期の健人くんしか貧困な記憶力の私には思い浮かばないのですが…。「傷つけられて」なら様々な外的要因から傷を受けたということで個人は連想できませんが、「傷つけて」って風磨くんが主体となって傷つけた相手…?えっ…?まさか健人くん……????
 健人くんの一週間後に入所した風磨くんのアイドル人生には、最初から健人くんがいます。思春期真っ盛りで、カメラの前で笑いたくもないのに笑えない、媚びられない、ある意味不器用で正直な風磨くん。彼の目に、売れるために傷ついてもノーガードで全力で前に向かっていく健人くんの姿がどう映ったのか。傷つけられて、傷つけて、「背負いこんじゃって」、「投げ出したくて」、それでも今もふたりは一緒にいる。特にふまけんは大学受験を経験しているだけあって、一般企業に就職したり起業したり、アイドル以外の自己表現で社会に出る同期の姿も見てきたでしょうし、ある意味今後の身の振り方を否応なく考えさせられたと思います。それでも風磨くんはアイドルを、SexyZoneを選んだ。悩んだ、迷った、でも、SexyZoneとしての菊池風磨として今もステージに立っている。その10年分の苦悩と葛藤、そして決意が、このパートに籠められていると思うと……思うと……。


(佐藤)咲かせた花たちはどこにあるのだろう?
 夢のStage(場所)に何時か立つんだ
“枯れても咲いたんだ”


 →勝利くんにしても、デビューした当時は15歳で、当時Jr.としてはものすごい人気だった(らしい。伝聞です)ふまけんを抑えてセンターに立たなければならなかった。彼もまた苦悩と葛藤の10年を過ごしてきたはずです。
 2021年1月2日放送のらじらー新春特別番組で、トーク番組をサッカーに例えて「数年前、ケンティーがどんどんゴールを決めていくのに、自分はゴール前にいても巧くシュートが打てなかった」という趣旨の発言をしていて、しょ、勝利くん…と私は彼の健気さにラジオの前で泣いたものです。
 SexyZoneはこの10年の間に、冠番組やレギュラー番組、主演ドラマに映画、出演作はそれこそ色々あります。アルバムだって幾つも発表されています。いい曲ばかりだし、私にとってはどれもそれぞれ思い入れがある、大好きな作品ばかりです。それでも、「事務所でトップ」とも「芸能界でトップ」とも言える地位のグループではありません。つまり、彼らが目指す夢の舞台は、国内外問わずまだまだたくさんあるといえます。
 10年の間に、咲かせてきた花たちはたくさんある。花とは、様々な作品、それに伴う評価かもしれませんし、聡ちゃんの「花景色」を踏まえるなら「ファン」の比喩かもしれません。ここは解釈が分かれるところと思います。昔はファンだったけど今はファンではない人もいると思います。何せアイドル戦国時代ですから。健人くんでさえ「数あるアイドルの中から、俺を選んでくれてありがとう」と言うくらいです。お礼を言いたいのはこっちです。話がすぐ脇へ逸れる。
 それでも、昔の彼らを応援してくれていたという意味で、かつてのファン――今はもう咲いていない花ですらまた咲かせてしまう(ファンにさせてしまう)くらい魅力的になって、かつ新しい花もどんどん咲かせて、5人で前へ進んでいく。枯れても、それを糧にして、また咲く。そういう決意表明の表れなのかな?と私は思いました。


(全員)Hey! 想いよ届け
Yeah! 夢に踊る
With you With you ほらおいで
何度も何度も挑むんだ
 さあ!We go!…

 

2021年2月3日に公開された分はまずはここまでです。
歌詞もとにかくエモなのですが、映像もひたすらエモなので、ご興味のある方はぜひ!デビュー後から段階を踏んで今に至るアー写や、MVのメイキングやライブ映像のつぎはぎで、彼らの10年間のキラキラを怒涛のように浴びることができて大変おすすめです。

マリくんが休養中のため収録Ver.は4人での歌唱ですが、いつか5人揃って歌える日が来ますように。

個人的にはPAGEコンでの健人くんのbecause of 愛用のシルバー髪、ほんとに好きなので、見る度にキュンで心臓が痛いです。あとちょいちょいリスっててほんとうにかわいい。

 

菊池風磨が選ぶ「まだ見ぬ永遠」

私は菊池風磨渋谷すばるを重ねていたのだと気付いた。私がSexyzone沼に足を踏み入れたのは、関ジャニ∞ の分解に耐えられなかったからだ。というより、 自担の脱退を受け容れられなかった。 当時私生活でも色々とあって早急に急激な癒しを求めていた私は、 ゴチで姿を見掛ける度気になっていたセクシーサンキューの子に縋 りつき、今は中島担となっている。
渋谷すばる錦戸亮から、おたくから、永遠を奪った。
一生、ずっと、じいさんになっても、こうしていよう。 そんな夢物語を誰よりも言葉の筆で描いたすばるくんを、 私は大嘘つきだと思って泣いた。大倉くんの言葉を借りれば、「 すばるくんの決断を勝手だとは思ったけれど、 どうしてもすばるくんを嫌いにはなれなかった」から苦しかった。 けれど一番つらいのは関ジャニ∞のメンバーだと思い、 遺されてセンターとエースを兼任すべく奮闘した錦戸くんの気持ち を想って、また泣いた。勝手に。おたくはいつも独り善がりだ。


私は風磨くんを一目見た時、 彼はSexyzoneの異分子だと思った。 本人もそれを認めているらしい。B.I. Shadowから健人くんと選抜でデビューが決まったけれど、 旧グループのメンバーの気持ちを想うと積極的にはなれなかったと いう風磨くん。 Sexyzoneというグループ名を今でも改名したがっており、 王道系アイドル路線からは一線を画した態度を崩さない。 けれどそれが良いスパイスとなって、 彼の個性を生かしている気がする。
ある人が彼をして、「 風磨くんは性格的にSixTONesのようなノリが好ましいのか もしれないが、 SixTONesでデビューしたらきっと今ほどの人気はでなかっ た。親友は田中樹でも、 ビジネスパートナーとしてのシンメは中島健人しか務まらないだろ う」と評した。 それは私が今迄風磨くんに抱いていた違和感を的確に言い当てるも のだった。
確かにデビュー当初は風磨くんが望むアイドル像ではなかっただろ う。 グループの半数を占める年少組にキーを合わせた可愛らしい曲調、 王道アイドル路線の衣装や演出、 そして三人体制というデビュー後にも拘わらず突きつけられた格差 。オトナの事情に振り回され、したいこともできず、 鬱憤も溜まっていただろう。そんな中、 同じ境遇で同じ目線を持つはずの健人くんと分かり合えなかったか らこそ生じたのがふまけんの氷河期であるし、 逆にきちんと言葉を交わして相手を理解するよう努めたからこそ、 彼等の努力によって一度は生まれた溝は埋められた。 デビューも9年目になった2020年、メンバー全員が成人し、 それぞれ芸能界でもプライベートでも様々な経験を積み、 王道ながらもスタイリッシュで大人っぽいグループへと舵を切りつ つある。
けれど、私の中ではずっと、 風磨くんはずっといつかSexyzoneを辞めるだろうなという 確信が拭えなかった。それは、 風磨くんがどれほどSexyzoneのために尽力していても、 彼はいつかSixTONesの方向に進むことを我慢できないだろ うと思ったからだ。 SexyzoneはSexyzoneであってSixTONesに はなれないし、 同じ事務所に似た方向性のグループはふたつも要らない。 だからこそ、 菊池風磨SixTONes的な表現者を目指す限り、いつか「 方向性の違い」は確実に訪れるだろうし、 最近の事務所の傾向からすると、 事務所を辞めても表現のしようはある。 テレビに出られなくてもインターネット上で人気を博せば、 歌で食べて行ける。 今やめないのはSexyzoneとしてグループに箔がないからだ 。箔とは、 彼がよく言うCD売上枚数でもコンサート動員人数でもいいし、 海外公演の成功でも、冠番組でも何でもいい。 何も為していないのに辞めるのは、「 中学時代の部活で完全燃焼できなかったから」 という理由でアイドルを志した彼の在り方に一貫性がないし、 何より世間に「途中で放り出した」印象を与える。 そういうダサい真似を、彼は好まないだろう。
何より、風磨くんはメンバーのこともファンのことも、 とても大切に思っているのだと、 最近彼をゆっくりと咀嚼できるようになっていた。

風磨くんは嵐の櫻井翔関ジャニ∞村上信五安田章大と仲良くしているという。いずれも、 解体の危機に瀕したグループにあって、 グループに残ることを選んだ者たちだ。彼らはグループを愛し、 メンバーを愛し、 多分生涯をかけてアイドルであり続けることを選んだ人間だ。 勿論今後のことはどうかわからないけれど、少なくとも関ジャニ∞大倉忠義の「今後誰か一人でも欠けることがあったら、 もうグループとしてはおしまいだと思う」という呪いがある。 身体の不調がない限り、関ジャニ∞ からはこれ以上脱退者は出ないだろう。というより、 丸山隆平が錦戸くんの脱退時に述べたように「 今後の人生を各自が真剣に考えたうえで、 グループに残る決断をした人と、残らない決断をした人がいた。 その差」だと述べたように、今関ジャニ∞に留まっている五人は「 自身の進退を真剣に考え、グループに残ることを選んだ」 者たちなのだ。だから、そう簡単には欠けることはないだろうし、 欠けさせないように(ギスギスしない意味で) 互いを見詰めていると思う。監視ではなく、互いを見詰め、 思いやり、居心地のいいグループを作ろうと努力するのだろう。
私は風磨くんをすばるくん寄りの人間だと思っていたから、「 いつかグループを辞めるのに、 辞めなかった人から何を学ぶのだろう」 とずっと疑問に思っていた。 風磨くんはすばるくんほど歌にのめり込んでいないというか、 歌と心中するような覚悟ではないにしろ、 それでも歌で生計を立てたいタイプの人間だろう。 だから芸能界で生きていくつもりではあるだろうけれど、 Sexyzoneに固執する必要もないと考えていそうだ。 そう解釈していた。
だとしても、すばるくんはファンのことも、 メンバーのことも大切にしていた。 けれどグループを辞めることを選んだ。 風磨くんが仮にすばるくんと同じく、 自身がアイドルの肩書を背負う期限を付けているとする。 けれどすばるくんと決定的に違うところは、 彼には中島健人というシンメがいることだ。
すばるくんは関ジャニ∞のセンターだった。 7人という奇数人数のグループの場合、 センターはとても収まりがいい。特に関ジャニ∞ は年長組と呼ばれる横山・渋谷・ 村上は同年代でデビュー前からの幼馴染的な関係といってもいい。 けれど、横山村上はヨコヒナとしてずっとコンビ売りをして、 人気を博し、今も愛されている。 明確に事務所から言いつけられたシンメではなかったかもしれない が、事実上の対、 ビジネス上の運命共同体といって差し支えないのではないかと思う 。
渋谷すばるにはそれがなかった。
横山・渋谷・ 村上の所謂三馬鹿トリオの仲が悪かったわけでは決してない。 渋谷と村上のコンビ「松原.」も、横山と渋谷のコンビ「 よこすば」も、それぞれとても仲が良かった。 渋谷は司会者として場を仕切ろうとする村上をいつもピンポイント で笑わせようとしていたし、 よこすばはプライベートでしょっちゅう旅行に行っていた。 けれど、コンビであってシンメではない。東のタッキー・ 西のすばるというのも、対ではなく対立関係だし、シンメという「 競い合うライバルでありながらも見えない絆で結ばれている」 微妙なニュアンスはそこには感じない。
自身の進退を決めるのに、 友情だけでは残り続ける理由にならないのだ。
確かに、幾ら仲のいい友人同士でも、 仲がいいだけで同じ大学に進もうとはしない。自身の生活環境、 やりたいこと、 今後の将来設計を慎重に鑑みたうえで進路を決める。 それはある意味、 例え同じグループのメンバーという運命共同体であったとしても、 それは人数分の一になってしまう。
けれどシンメは、自分と相手、一対一の関係だ。 鏡のようにいつも傍にいる存在。特に、 シンメは自称ではなく事務所の都合で変動する流動的なコンビであ るため、 いくら運命的な繋がりを持っていてもある日突然解消されることも ある。けれどふまけんというシンメ、菊池風磨中島健人は、 一週間違いで入所してからずっと、デビューしてからも、 アイドルである期間をずっとシンメとして過ごしてきたのだ。 だからこそふまけんが運命的と呼ばれる所以なのだろう。
菊池風磨が持つものを中島健人は持たない。逆に、 中島健人が持つものを、菊池風磨が持たない。凸と凹。 互いが互いの欠けたものを補いながら、支えながら、 理解しあって、時に背中合わせに、 時に鏡に相対するように向き合って立つ存在。 以前は壁でしかなかった互いが、 今はかけがえのない相棒でありパートナーとして受け容れることが できている。そんな相方を、情の深い彼が、 情け容赦なく置き去りにするとはとても思えない。
風磨くんはなかなか愛が重い男だ。 一度懐に入れた相手は心底大事にするし、一途だし、 一度愛すれば、 惜しみない無償の愛情を家族以外の相手にでも注げる。 結婚を前提にできるような相手でなければ付き合わないというくら いだから相当だ。仲間や親友、家族を大切にする男。そんな彼が、 ビジネスパートナーであっても、苦楽を共にし、 家族よりも長い時間を共有し、何よりも自身を慕う、 子供のように純粋なひとつ年上の相棒を捨ててまで選ぶ道が、 あるだろうか。
以前は確かに、Sexyzoneはいばらの道を歩いてきた。 しかしそこから逃げずにずっと歩いてきたお陰で、 道は踏み固められ、彼等自身も多くの武器や言葉を持ち、 強く逞しく成長した。以前は傷ついた茨の棘にも、 対処できるようになった。棘の傷を治し、時に茨を払い、 仲間を守ることも周囲に助けを求めることもできるようになった。 風磨くんはシェイクスピアの大きな主演舞台を成功させたし、 バラエティの仕事も増え、表現の幅も広がりつつある。 やりたいことができる環境が整って、 それを理解し応援してくれる仲間がいる。 確かにシンメとして組まされたのは偶然かもしれない。けれど、 それが続いている現在と言う事実に勝運命もないのではないだろう か。
私は未見だが、少年倶楽部ジャニーズWESTの小瀧くんが「 風磨はWESTに入ったらいい」と言った時、 Sexyzoneの4人は全員すぐに引き留めたという。 場の流れとしては、誰も引き留めずに風磨くんが「おい!」 とツッコんで終わるのがテレビらしい流れだが、 Sexyzoneは「それがテレビ的であるかどうか」ではなく「 自分がやりたいかどうか」で行動する。 Sexyzoneには菊池風磨が必要で、 ずっとSexyzoneでいてほしい。だからこそ、 例え冗談でも風磨くんがいなくていいとは言わない。 風磨くんはそういう真面目で仲間に優しいSexyzoneが好き なのだろう。
STAGEコンだったかで、風磨くんは「 Sexyzoneを頑張る」と発言したという。 今迄は事務所に不満があり、したいことができない苛立ち、 聡マリに対するもどかしさから、 仕事にも身が入らないこともあったという。 私はその頃を伝聞でしか知ることができないけれど。けれど、 その風磨くんが気持ちを新たに、 Sexyzoneに正面から向き合う決意を固めたのだ。それは、 一途で重い愛を掲げる彼が、真直ぐに、 Sexyzoneという不器用なほど優しいグループと心中する覚 悟を固めたということなのではないだろうか。 一度回り道をした分、その贖罪を、風磨くんは真摯に行うだろう。 根は真面目で優しいのだ。
渋谷すばるが連れて行ってしまったから、この世には永遠がない。 だから、始まったものにはいつか必ず終わりがやってくる。
でも、風磨くんは彼のシンメの中島健人を置いて、多分まだ、 何処かへ行ったりはしないだろう。 何処かへ行ってしまうとしても、 それは健人くんが風磨くん以外の誰かを見つけた時のような気がす る。けれどふまけんは、 互いがふまけんという互いを誰よりも特別扱いして、 大切に守っている気がする。
風磨くんと健人くんがふたり手を繋いで、笑いあっている未来が、 「永遠に続けなんて願わないから、せめてあと少しだけ」。

拝啓、予感という可能性でしかない絶望へ

菊池風磨
私はまだ菊池風磨という人間を咀嚼するに至っていない。
いや、身近な親や友達ですら100%完璧に咀嚼できていないのだから何をか況やという話だけれど、けれど彼らは事務所に所属するタレントとして思考や日常を言語化・可視化して切売りしているため、ある意味親や友達よりも彼らを紐解く資料は多く手元にあるはずなのだ。それでも彼を理解できないと感じるのは、彼が私の理解に及ばない存在であることの逆説的な証明なのだと思う。
私は彼を初めて見た時、勝利くんを見た時とは別のベクトルで、この人は本当はアイドルをやりたくないんだろうなと思った。正確には、この事務所で、このグループでアイドルを長く続けていく気はないんだろうと。そしてその印象は、勝利くん同様、今もあまり変わっていない。風磨くんはきっといつかSexyZoneを出ていくだろうと漠然とした確信がある。今はまだ、箔がないから辞めないだけだ。事務所に入った理由も、元々器用な性質で大抵のことはそつなく熟せるのに「部活で完全燃焼できなかったから」という彼のこと、まだアイドルとして冠番組もなく知名度も先輩には劣るという状況で、今辞めるのは半端に投げ出すようで格好悪いと思っているんだろうな、と何故かそんなことはぼんやりと、彼が明確に発言した訳ではないのに何となく伝わってくる。
だって彼は歌が好きだ。歌うことが好きだ。それは渋谷すばるが古巣たる関ジャニ∞を辞めた時に私が感じた、「ああこの人はひとりぼっちで音楽と心中するためにグループを抜けるんだな」という悲壮な覚悟ではなく、自身の表現のツールとして選択する歌という、どちらかというとカラッとさばけた覚悟だろう。だから彼は、グループを抜けても歌うことは辞めないだろう。けれど、いつかきっと辞めそうだという最初の印象を拭うことができない。絶対に傷つくとわかっていて恋はできない、みたいな感じなのかもしれない。だから、好きになりたくないなと思って、でも、心は惹かれるのを止められない。

ジャニーさんが「YOU達はずっと一緒だよ」と告げたように、もし人生を本に例えるなら、風磨くんのアイドル人生には最初の1ページから中島健人が登場している。中島健人菊池風磨。1週間違いの入所日、1年と1週間違いの誕生日。かの事務所では流動的なシンメという絆で、けれど彼らはずっと繋がれている。
私は2019年秋からのおたくだから、彼らの不仲期、風磨くんの反抗期、所謂氷河期をどう過ごしていたかはわからない。今では互いの急所を掴みあってゲラゲラ笑い転げるほどの仲なのに、楽屋では目もあわさず口も利かず、「足を踏んだ踏まないで掴み合いの喧嘩を始めそうなほど」緊迫していたという青く儚い青春の足跡を、私は先人達の記憶越しに眺めることしかできない。それは曇りガラスの向こうの世界を想像することと同じで、輪郭はぼやけて、どれほど目を凝らしても正確な像を結ぶことができない。
事務所の方針でコンビ売りを強要された相手と、運よく親友になれる確率がどのくらいあるだろうか。むしろ一緒にいすぎて仲が悪くなることもあるだろう。現にヨコヒナがそうだった。必要なのは歩み寄ることと理解する努力を怠らないことだ。けれど思春期の少年にそれを強いることは難しい。私だって苦手なタイプの人と積極的に話そうとは思わない。むしろ避けて通りたくなるだろう。
直接的に攻撃しなかったのは風磨くんの優しさで、それに立ち向かえなかったのはだからきっと、健人くんの臆病さだった。
どちらが悪かったとかではなく、多分どちらも足りないところがあったのだと思う。懐の広さとか、対話とか。衝突する理想の強度の問題だったのかもしれない。けれどそんなことは今更些末なことなのだ。問題は菊池風磨中島健人を「受け容れ」「認めた」ことで、中島健人もまた、菊池風磨の変化を喜ばしく「受け止め」ているという事実だけだ。
おたくが咀嚼できないどうこうより、今はそれが一番尊重すべき事実なのだ。健人くんが風磨くんを、好ましく、そして特別に考えている。それ以外に認識すべき事実はない。けれどきっと健人くんは、風磨くんが自分から離れる未来を、多分露程も想像していないのだろうなと思う瞬間がある。彼にとって風磨くんは、自分とは違う世界にいるけれど、その世界はずっと隣り合って平行線上に伸びていくのだろうなと無条件に信じ切っていそうな気がする。だから私はこんなに、風磨くんを見ると悲しくなるのかもしれない。

風磨くんはきっといつかSexyZoneからいなくなる日が来ると思う。けれどそれは辞めてほしいという訳ではない。辞めてほしくないから、彼を知るのが怖いのだ。
私は以前関ジャニ∞のおたくをしていて、担当ではなかったけれど、渋谷すばる関ジャニ∞を去った時、それこそ胸を引き裂かれるくらいに苦しんだ。好きだから受け容れられなかったし、正直今も受け容れられていない。一介の弱いおたくがそんなことを願うべきではないけれど、永遠という彼がついた優しい嘘を、出来る限り長くつき続けていてほしかったという祈りが消えなかった。
そうやって、私は心から彼の脱退を受容れ、認めることができなかったから、関ジャニ∞そのものから離れることを選んだ。好きだから、とてもとても好きだったから、決定的に嫌いになりたくなくて、嫌いになる前に離れた。本当に、下手な恋愛みたいで我ながら自分酔いが過ぎて救えないけれど、それでもそれが青臭く醜い本心なのだから仕方がないと諦めた。
私のようなおたくがひとり消えたところで関ジャニ∞は恙なく我が道を進んでいくし、世界中に笑顔を届けてくれるだろう。すばるくんは命ある限り、その身を焦がして歌い続けるだろう。
それはそれでいいのだ。
だから同様に、風磨くんを好きになればなるほど、彼が本当に辞めてしまった時、私はまた心から苦しむだろうという予感が拭えない。それは私の中に、不思議と確信として根を張っている。
ファンの気は移ろいやすい。一生愛し続けますと言うファンの中に、本当に一生を通して彼らを愛し抜くファンがどれほどいるだろう。彼らもまた、それをわかっているのだ。本当にずっとずっと一途に彼らだけを愛して付いてきてくれるファンが一握りしかいないことを、彼らもまた理解している。
けれど、人生のほんの数秒でも数時間でも、あるひとつのことだけを熱烈に想い、愛し、幸せを祈ったことがあるおたくなら、愛したアイドルが愛したグループから綻びが生まれるあの絶望を、苦しみを、また味わうのが恐ろしいと思っても仕方がないことなのではないかと思う。
私だって苦しいけれど、彼らだって苦しいのだ。きっと。
それに、自分勝手な理由で彼らのファンを名乗らなくなるおたくが何万人といる中で、彼らだけにその責を担わせるのもまた傲慢というものだ。彼らは夢を売って生計を立てている。けれど、彼らが生きるために売るべきは、最早夢でなくてもいいのだ。今もかの事務所からは多くのアイドルが生まれ、そして失われている。それをまだ二十代前半という彼らだけに背負わせるのはおたくの業だ。
最も罪深きは、せめて私が彼らを好きでいる間だけでいい、5人で仲良くしていてほしい、ということだ。私が彼らにお金を落とすほど愛情を注げなくなったら、傷は浅くて済む。お気に入りのぬいぐるみ、陶器の置物、そういった記憶の欠片となって淡い痛みを残す程度の距離まで離れられたら、こんな風に考えることもなくなるだろう。

でも、風磨くんのいいところ、いざという時にはしっかりと感情を言葉にできる意思の強さ、相手を労われる優しさ、家族や友達を大切にする男気、後輩を可愛がる兄貴分なところ、先輩を敬う謙虚さ、歌に感情を乗せるのがとてもじょうずなところ、アイドルだからと言って嘘をつきたくないという不器用さ、そういう彼という個人が好きで、好きだからこそ、ずっとSexyZoneというグループに籍を置いていてほしいなと、私は心から願っている。
いつかの未来で、ああこんな的外れな不安を抱いていた日もあったなと過去の自分を嘲笑いながら、意気揚々と彼らのX周年のコンサートに足を運べる日が来ますように。

称号ではなくその生き様こそが「王子様」~SexyZone印象の変遷②中島健人

圧倒的アイドル。私の救世主。これを書いている現時点で、この地球上で一番好き。好きしかない。

SexyZoneは基本的に顔選抜かと思うほど顔面偏差値が高い男しかいないでお馴染みだが、健人くんも当然のように顔が良い。しかし佐藤勝利と圧倒的に異なる点はやはりその卓越・徹底したアイドル性である。プライベートで同性相手に薔薇を(頻繁に)送り、LOVE KENTYという自身の愛称を自作曲の歌のC&Rに盛込み、入所前から「俺はアイドルになるから」と電話帳から全女子の痕跡を消し去ったというプロアイドルである。全自称アイドル共にわたしは健人くんの爪の垢を煎じて飲ませたいんだよ、マジで……(類:君にHITOMEBORE)(最早何処にミーニングしたいか不明)
しかし彼の徹底ぶりに関して敢えて述べるのであれば、そのアイドル性は職業ではなく天性の称号で、彼はなるべくしてアイドルになったのであり、事務所入所も自薦というから恐れ入る。感謝。中島健人は王子様キャラという風潮があるが、健人くんは王子様キャラなのではなく、彼の生き様を形容しようと思ったら王子としか言いようがないから便宜上王子様なのであって、中島健人と王子様はイコールで括ることはできない。敢えて言うなら≒王子様である。

私は健人くんの、ひたすらにポジティブで、ひたすらに優しく、大胆なようでいて繊細なところが堪らなく好きだ。今や彼の代名詞ともなったセクシーサンキューというトンチキワードを公衆の面前で真剣に連発できる胆力をもったアイドルが今世どれほどいるだろうか。自グループの名前をアピールしつつも、ワンフレーズでスパッと完結でき、かつ口に出したくなるキャッチーさもあり、更には誰も傷付けないシンプルな笑い。最終学歴は明治学院大学、自己プロデュース能力にも長けていた健人くんのことだから当然のように地頭はいいのだろうけれど、それにしたってボケ側にも優れているとは恐ろしい子。唯一の欠点はあまりに堂々としすぎて誰もツッコめないことくらいである。SexyZoneきってのツッコミ師・佐藤勝利ですら「よっいつもの出ました!中島屋!」とばかり褒めて流すのだからそりゃあもうオンリーワンでありナンバーワンである。何者でもなかった中学生の砌、パフォーマンスで観客を沸かせる修二と彰やHey!Say!JUMP!の姿を見、「俺と同い年の子があんなにたくさんの人に笑顔にしている」と感銘を受けた健人くんらしく、彼は笑いであっても人を傷つけない。彼自身、それを望んでいない。だから心無い世間に石を投げられても微笑みと薔薇で返す、中島健人という人は、強く美しい心の持主なのである。そういうところが王子様だってんだよ…。
だが彼の完璧なアイドル然とした姿はある意味「対大衆向け」であって、コンサートやラジオ等、所謂「身内の場」では、格好つけすぎないおちゃめな姿も見せてくれる。それがまたいい~~。コンサートは「自分を好きでいてくれるファン」しかいないことを事務所の先輩N.Hさんに教わって以来、テレビで見るより(パフォーマンスにおいては完璧主義者であることを考慮し、多少)肩の抜いた健人くんの素顔を垣間見るにつけ、本当は繊細なひとなんだなぁと愛を深めずにはいられない。むしろ「俺を好きで集まってくれたファンの皆、もっと俺のこと大好きになってね!」とばかりはりきって格好つけてくれる姿も、最早愛おしいとしか形容しようがない。セクゾは個人への狙い撃ちファンサをあまりしない?割りに、自分のうちわは探すらしいので、私もポプコン(というのかは知らんが)では健人くんうちわを肩の高さに掲げて参戦したい所存である。健人くん、きみのファン、ここにいるよ…。

グループの最年長として、エースとして、常にSexyZoneの斬り込み隊長であった健人くんは、出演作で何とかして爪痕を残そうと頑張っている、本来はちょっと天然で頑張り屋のかわいらしい男の子であり、もっともっと売れたいと言う野心を隠さない、潔く格好いい男性なのである。いやそれ以前にめちゃくちゃカメラに映りたがりで、Jr.時代もメイングループを差し置いてカメラ目線で抜かれまくり振付師に怒られただとかの目立ちたがりエピソードにも事欠かないが、直近のカウコンの映像等を見ても健人くんとは高確率で目が合うからウケる。ビジュアルが御人形だからそういうアトラクションみたいだね。いつもありがとう。生放送でそこまでカメラ位置とタイミング徹底してるって冷静に考えたらすごいし、あのキラキラな笑顔にそぐわぬ執念を感じて、そこも好きだ。菊池風磨は逆に目線を逸らしていて→合わせるみたいなカメラ芸をよくするけれど、健人くんは常に見てる。カメラの向こうにファンを探している。毎時毎秒徹底したアイドル過ぎて、カメラと常ににらめっこしては全戦全勝しているのである。最近私は健人くんと目が合いすぎて、逆に恥ずかしすぎてそっと目を逸らしてしまう。より多くの人に愛されたいという彼の想いの強さが垣間見えて、アイドルとしてそのギラギラ感はすごく好きだ。

私はアイドルに限らず、「こうありたい」という理想像を追ってしまうことが多くて、だから自分の信念を曲げない頑固な人が好きなのだけれど、健人くんもご多分に漏れず一途で一生懸命で真面目で頑固だ。だからこそセクシーサンキューという言葉を使い続けるのだろうし、それで私というおたくをひとり釣っているのだからその効果と言ったら絶大である。彼の紡ぐ曲はいつも誰かと恋をしていて、ファンを愛してくれているのがひしひしと伝わるから、私の薄給を健人くんになら捧げてもいいと心から思えるのだろう。

最近は主演ドラマの撮影に忙しい健人くん、けれど自撮り画像は相変わらず美の暴力で目が潰れる。感謝。相棒役の平野氏に対する兄貴アピールもめちゃくちゃ可愛いし、2020年は彼にとってますます飛躍の年になるだろう。なってほしい。
とりあえず、体調を崩さないように今日もおしごと頑張ってください。敬具。

青春の傷跡は今も痛みを残すか?

某テレビ誌に掲載された「勝利くんとマリウスくんから見たふまけん」インタビューは、私にとってかなり衝撃的な内容だった。
「レッスン中に足を踏んだ踏まないでふまけんが殴り合い寸前の喧嘩をはじめて、仲裁することもできず慌ててマネージャーを呼びに行った」
圧倒的青春。ふまけんが蜜月期(というのかは知らんが)に入ったからこそ明かしてくれた衝撃の過去。年下組から見たふまけん、あまりにも脆く儚い少年期特有の自我のぶつかり合い…。
正確な時期は明言されていなかったけれど、ふまけんが楽屋で一言も口を利かなかったという所謂氷河期真っ最中の出来事であろうことは想像に難くない。ただ恐らくまだ中学生だった勝利くんにしてみれば、高校生のお兄ちゃんふたりのガチ喧嘩はさぞ恐怖だったろう。中高生時代の年齢差は何故かとてつもなく大きなものに感じるし、アイドル歴の長さも人気もあったふたりの喧嘩を、年下の自分が仲裁もできないし…と素早く大人に助けを求めた彼の判断力を今こそ褒めたい。褒めて褒めて褒めまくりたい。
火花を散らすふまけんの諍いに対し中立を守った年下組の見守りと、風磨くんの譲歩、そして健人くんの赦しの甲斐あって、今のふまけん仲は傍目から見ても良好だ。
Jr.時代からジャニーさんに「YOU達はずっとふたりだよ」と言われたふまけんは、互いを身近なライバルと位置付けて常に隣に立ち続け、そして今も隣に立っている。風磨くんが今や中島健人全肯定botと言われるように健人くんの発言を肯定してくれるのも、彼が「中島健人にあって菊池風磨にないもの」を認め、かつ「菊池風磨にあって中島健人にないもの」もあるのだと自信をつけた結果だとするなら、互いを認め合い尊重できるシンメへと成長したふまけんは向かうところ敵なしといった感じがする。
私が2019年10月からの超新参のひよこおたくのため氷河期について深く語る権利を持たないが、それでも先人達の目を借りながら紐解いた歴史に、何も感じない訳ではなかった。けれど誰よりも、氷河期の当事者である健人くんが、風磨くんの変化を受け容れ、喜んでいるのだ。それに気付いてからは、外野が過去を掘返してねちねち言う方がお門違いなのだと理解できた。心優しく、誰かを傷つけることを避け、ポジティブであろうと心掛けている健人くんも、それを喜ばないだろう。だから今は、心から風磨くんの成長に感謝できているし、風磨くんが好きだと素直に思える。セクシーサンキューto the world。
ゆえにふまけんについては、青春の傷跡は流れ星の日を機に徐々に癒え、自主レーベルを発足した今、瘡蓋すら残っていないのだと夢想できる。

まだ青春の痛みをその身に残しているのは、だから私はむしろ、佐藤勝利の方ではないかとすら思う。
2020年3月発売のSexyZoneカレンダー掲載の勝利くん単独インタビューに記載されていた、デビュー後の生放送での出来事に、私はまたしても心臓を抉られた。
曰く、「生放送でVTR振りを間違え、あわや放送事故になりかけた。当時は子供だった自分を叱ってもしょうがないと、大人やジャニーさんはグループ最年長でリーダーとされていた健人くんを叱っていた。今でも申し訳ないし、忘れられない」と。
し、しんど~~~誰も悪くないだけに余計しんど~~~。
ミスをしない人間はいないのに、よりによって自分のミスで、先輩でこそあるもののまだ未成年の子供である健人くんが大人達に怒られているのを、ただ見ていることしかできなかった無力な子供時代の悔恨が、今も勝利くんに鮮やかに傷として残ってしまっている事実がめちゃくちゃしんどい…。きっと健人くんは気にしていないだろうことが容易に想像できるのも更にしんどさに拍車をかける。幼くして紅い薔薇を背負うことを宿命づけられた永遠の0番の責任感まじ半端ねえな…おたく、落涙を禁じ得ない。
けれど健人くんの小ボケを逐一ツッコんで拾ってくれたり、一緒にごはん行きたくても断れるのが怖くて誘えない健人くんに気を回して「一緒にごはん行く?」って誘える勝利くんの優しさが、現在進行形で健人くんを救っているのも事実なのだし、もうその過去は清算してもいいのでは…と外野は思ってしまうけれど、勝利くんの強すぎるほどの責任感がその傷を易々と癒させないのも理解できるので、この傷は当人同士で解決していただくしか…ないんだろうなあ…。健人くんが赦す赦さないでなく、これは勝利くんの落としどころの問題なので、公の場で発言できる程度には傷は癒えていると思いたいけれど。
頑固で真面目なところ、勝利くんと健人くんは似ている気がして、愛おしいけれどおたくは心配です。勝利くんをふかふかおふとんでくるんでぬくぬくさせたい。

青春の傷跡は、治るも治らないも、きっと本人達がその傷を癒したいと思っているかどうかにかかっている。
癒すことを選んだ傷も、未だ癒せない傷も、どちらも今の彼らを形作る肥しなのだとすれば、一概になかったことにすべきでないこともわかるけれども。
どうか少しでも彼らの前途が明るいものでありますように。と、おたくは祈るばかりである。おわり。

2.5次元出の若手俳優おたくに対する所感

定期的に学級会の俎上にあがる「2.5次元舞台からの俳優おたくは善か悪か」みたいな話題について。
私は基本的に、SNS上や会場での行儀が良くて、金を落として、俳優本人を不快にさせないおたくなら別にきっかけが2.5次元でも何でもいいと思う。自分が2.5次元由来の沼落ち民だったから余計にそう思うのかもしれないけれど、でも普通に生きていたら「金を払って舞台に足を運ぶ」なんて若い子女はなかなかしないと思うので、2.5次元はかなりライトな入口なのではないかと思う。
そして、「2.5次元を入口にしたおたくでも、1年以上追っか続けられたら許されていいんじゃない」という結論にふと至った。風呂場で。大抵こういう脈絡もない結論がぽっと浮かぶのが風呂場である。

私は2.5次元ミュージカルでとある若手俳優のおたくになり、4年半ほど追っかけをしていた。今は降りているけれど。で、本命俳優のほかに所謂二推しも大勢いた。MAX7人いた。二推しの概念崩壊。
私の推し基準は明確で、「何公演でもチケットを積みたい(実際平日昼公演以外は全部行っていた)」のが本命、「舞台は観に行きたいけれど1タイトル1公演でいい」が二推しだったため、「ちょっと気になる」レベルの俳優の出演作も割と気軽に観劇していた。
先に述べた「1年追っかけたら」という話だが、最近の若手俳優は今は亡きAiiAやZeppブルーシアターのような2000人規模の劇場から、赤坂REDや青山DDDなどの200人くらいの劇場まで、様々な作品に出演する。私の友人がかつて「推しが毎月何かしらの舞台に出演していて、追いかけるのは大変だけど楽しい」と言っていたように、規模に拘らなければコンスタントに仕事が続く俳優もいる。私の二推し達は幸いにも(というより、私がある程度人気と実力のある俳優ばかり好きになったからだが)出演作が続いていたため、私も本命の仕事がない期間はふらふらと色々な劇場へ足を運んだ。
さて、ひとりの俳優をゆる~くでも約1年、追っかけると何が起きるか。

クソつまらない舞台への遭遇である。

クソつまらないというと語弊がある。まろやかに表現すれば、自分の趣味嗜好に合わない作品を観劇しなければならない状況、である。そんな作品に推しが出演してしまう機会は、若手俳優のおたくをしていれば絶対に避けられない。絶対に、これは絶対にである。
推しは仕事を選べない。同様に、推しを人質にとられているおたくもまた、推しが出演している以上、観る作品を選べない。ゆえにそういう悲劇が起きる。最近も、LGBTの方々に著しく配慮されない映画に出演した俳優が製作の巻き添えで叩かれる事案が発生したらしいが、私は寡聞にして詳細を知らないのでここでは敢えて語らない。推しが、自分の好むような作品に出演し続けてくれる俳優であれば言うことないが、知名度が高くない俳優であればあるほど遭遇率は高いように思う。
私は本命を降りたのも(私にとって)つまらない舞台を延々見させられたからだが、本当に、自分の好みに合わない作品を安くない金を払って見続けるのは精神的にかなりの苦痛を強いる。つまらないなら見るなという議論は個人のスタンスに因るので割愛するが、私はパブリックに提供された推しの姿をすべて確認したいタイプのおたくだったため、その作品に推しが出演している以上観ないという選択肢は採れなかった。平日昼公演は、有給日数の都合もあり断念したが、幸い当時の勤務地が麹町で大抵の劇場には30分程度でアクセス可能だったため、定時ダッシュで通える公演はすべて通った。少ない給料をやりくりして、服やごはんを我慢して、交通費も節約して、やっとの思いで観た作品がクソつまらない。おまけに推しの出番が極端に少なかったりする。なかなかに地獄である。
勿論、推しの出番が少なくても見応えのある作品もあるし、観続けるうちに(感覚が麻痺して…)面白くなって、最終的に「あーおもしろかった」で千秋楽を迎えられる作品もある。
だがそうでない作品にも遭遇する確率が高いのが「若手俳優の追っかけ」という趣味の醍醐味でもある。

1年も通えば、その俳優の作品を3~4本は見られるし、事務所の方針によっては接触イベント等に参加する機会もあるだろう。若手俳優おたくとしては入口が2.5次元であったとしても、1年も追っかけ続ければ、そういうのの積み重ねで次第に作品のキャラ以上に俳優のパーソナルな部分を好きになり、作品関係なく「彼の演技が観たいから行く」にシフトできている気がする。

というか、これらはすべて、単なる私個人の経験論である。
私は「好きなキャラを素敵に演じてくれた」という理由で若手俳優を何人か二推しとして応援したが、「キャラを応援してくれた感謝」で1年以上通い続けられた俳優はいなかった。出演作が好みに合わなかったり、あのキャラの演技は好きだったけれど他作品での演技は好きじゃないなと思ったり、単純に予定が合わなくて観られなかったりもあったけれど、とにかく1年保たなかった気がする。通い続けられた二推しは本命に取って代わり、本命になった頃には俳優の演技や個性が大好きになっていたため、好きの入り口になったキャラクターも「彼が演じた役のひとつ」として大切にできるようになっていた。思い入れは段違いだけれども、それは各人の記憶で脚色されがちなものだし、日頃喧伝するものでもないのでまあよしとする。
色々見たなあ。恐るべき子供たち、歌姫、刀のミュージカル。紅き谷のサクラ、さがり、錆色のアーマ、破壊ランナー、遠い夏のゴッホ。頭の中の消しゴム、カレーライフ、ロボロボ、里見八犬伝、俺とお前の夏の陣、ONLY SILVER FISH。儚みのしつらえ、猫の裁判、GoWest、ホテルカルフォリニア。振返ってみれば、二推しでも1年近くゆるく追っかければ4作品くらいは観ているものなんだなあ。
つまんなすぎてキレながら帰った作品もあれば、1回しか見ていないのに衝撃的過ぎて未だに心にこびりついている作品もあるし、若手俳優の追っかけはそういう意味でもなかなか博打な趣味だとつくづく思う。個人的に、私は若手俳優の追っかけを、俳優本人のストーキング的な意味ではなく(私は出待ちなるものをしたことがないが)「作品との出会いの場」だとも思っている。
基本的には「この俳優の演技が好きだから」出演作はすべて観に行きたいのだけれど、その作品そのものに惚れ込むことができれば、「こんなに素晴らしい作品に出逢わせてくれた彼に感謝したい」と思わせてくれることがあるからだ。「星の王子さま」や「女海賊ビアンカ」が私にとってのそれにあたる。そういう経験が一度あると、その俳優の出演作に通うのがもっと好きになるし、俳優自身のことももっともっと好きになって、もっともっともっと応援したくなる。
若手俳優おたくのいいところは、出演作によって好きがどんどん上塗りされる(できる)ことと、逆に出演作によってその俳優を応援する気がゴンと失せるところかなと思う。私の場合だが。

なので1年ばかりその俳優を追えば、いい具合にキャラ萌えの熱も冷めて俳優個人に着目することができるし、ある程度時間やお金をかければ諦めもついたりする。○○くんを演じる俳優には二度と逢えないのね、という現実が、漸く見えてきたりする。逆に、大千秋楽が終わってとあるキャラへのガチ恋を拗らせたりするのもまた舞台との出会いである。たぶんね。
だから一概に2.5次元出のおたくがどうこうも言えないし、マナー違反をしている訳でないなら外野がとやかく言うものでもないのかなと思う。入り口はどうあれ、そのおたくが、その沼の中でどう生きるかが肝要なのだなあと思う今日この頃である。
語尾に「※すべて個人の感想です」を付けた方がいい気がしてきた。

アイドルという職業~Sexyzone印象の変遷①佐藤勝利

セクゾを好きになって早2ヵ月が経とうとしている。
好きに対して全力投球するおたくのため、可能な限りのアーカイブをありとあらゆる手段で漁っている今日この頃、最初に抱いた個々人のパーソナルな印象が徐々に変化しつつあるため、備忘録として残しておきたいと思う。

 

佐藤勝利
言わずと知れた顔面人間国宝。顔が良い。顔が良い。もう一回言っておこう、とにかくハチャメチャに顔が良い。人間の顔立ちにおける美は「どれほど平均に近いか」で決まるそうだが、勝利くんの顔面は神様が時間をかけて丁寧に作りました自信作ですと言わんばかりの綺麗な顔立ちである。
一番最初に彼に抱いた「アイドルするの恥ずかしいのかな」という印象は、実は時間が経った今でもそれほど薄れていない。彼はSexyZoneという事務所でもかなり王道的方針を取るアイドルグループに7年も属していながら、所謂投げちゅーやウインク等、如何にもなアイドル仕草に恥じらいを抱いている。だが、そのアイドルは自らが望むエンターテイメントを体現する為の「手段」であり、純粋な職業として誠実に全うしようとしてくれている姿勢が、逆に永遠の初々しさとなって色褪せない可愛らしさを醸しているのだとすれば、それはそれで長所だと私は思う。勝利くんは生きているだけでファンサだし、コンサートも「めちゃくちゃ楽しいよ!」だそうなので、多分お手振り以上のファンサを受けたファンが心臓発作を起こさないよう配慮してくれているのだろう。優しいアイドルだ。


私は勝利くんの、あのとびきり綺麗な顔立ちを持つ者らしからぬ素朴さが好きだ。あの光輝く光源氏のような美貌を持って生まれたなら、それをひけらかすのが世界への還元になりそうなものだが、当人は自身の美醜にあまり頓着していないらしい。まあそりゃ元がシャトーブリアンなら塩振っただけで絶品だろうけれど。
持って生まれたビジュアルというアドバンテージに傲り昂らず、ギターや車、ブラックミュージック、そして家族やペットや仲間を愛する、ごくごく普通の感性を持った男の子。そんな勝利くんに、私は非常にグッとくる。車となればかの1000年に一度の逸材こと橋本環奈ちゃんの質問もぶっちぎってノンストップで話し続けた

挙句「で、何か言った?」とケロッとしていたり、インコのキーちゃんに邪魔されながらギターを弾いたりする彼は、多分スーパーで2回スカウトされるような美しい顔面がなければ車のエンジニアとしてツナギ着て先輩に可愛がられながら一生を終えていただろう。と考えると、御母堂のナイスアシストぶりに金一封を送りたい所存である。アイドルになってくれてアリガト~~!
また、今迄病気等で一度も仕事に穴を空けたことがないらしく、その安定した健康な身体と、Jr.歴や人気のある年長の中島・菊池を差し置いて、入所間もない自分がセンターに抜擢されてなお凛として立ち続けなければならないという艱難辛苦を潜り抜けたそのしなやかなメンタルがあってなかなかその片鱗が見えないのかもしれないが、年相応におちゃめで悪戯好きなところも可愛い。

私がしょりけんが好きなので抜粋するエピも当然のようにしょりけんに偏るが、中島が好きなお菓子をこっそり彼の鞄につめつめして驚かせようとしたり、逆に中島が好きであることを理解した上で差入れのお寿司から中トロを一掃する等、悪戯のレベルが小学生すぎて心が和みすぎるどころの話ではない。

SexyZoneは3/5(中島・松島・マリウス。菊池もボケという風潮があるかもしれないが、私は彼はボケというより煽り役というイメージで認識しているため本記事ではボケには含めなかった)がボケというボケ倒しのグループのため、基本的に勝利くんが全ボケを処理しなければならないという事態に陥るのだが、中島の流れるようなボケも的確に対処するし、「3日間で人は成長できるのか?」で漫才のツッコミ役や2000個ダジャレ等をやり遂げる、訓練されし熟練のツッコミ師でもある。健人くんとのふたりラジオでは、縦横無尽に思うさまボケ倒す健人くんのボケを丁寧に拾い的確にツッコんでは健人くんにきゃっきゃ喜ばれるというお花畑のような時間が繰り広げられているが、勝利くんの丁寧な仕事ぶりが伺え大変よろしいと思う。
かの事務所は青田買いを得意としていて、若く優秀な人材を早くから囲い込む。その速さと言ったら、現状はどうか知れないし、自薦他薦あれど送られてきた履歴書からピックアップしている訳だから悪ではないにしろ(SixTONESはスカウトもあるらしいし)、小学生とか中学生のうちからアイドルみたいなことをやらせて、

歓声を浴びるという非日常を幼いうちから経験させ、エンターテイメントの虜にする。見る者だけでなく演じる側までも取込まれてしまうのがアイドルの恐ろしいところだと思うが、しかし、親子丼に釣られてオーディションに参加した勝利くんは、自ら望んでアイドルになった訳ではなかった。はずだ。だが今や齢22歳にしてアイドル歴7年のなかなかのベテランである。


だから私は、佐藤勝利はアイドルという肩書に固執している訳ではないと思っている。エンターテイメンナーとしての生き方を選びたいのなら、昨今、自身の意思に従って事務所を脱する結論を下す諸先輩がある中、やり方は幾らでもある。それでもなお、彼はまだ、事務所に根を下ろしてくれている。後述する中島・菊池という絶対的シンメを左右に従えてSexyZoneのセンターに立たなければならない重責があってなお、そこに在ろうとしてくれているのは、彼を応援するファンの想い、周囲の環境、すべてに配慮しての選択なのだとすれば、なおこの道を選び続けてくれている現在には感謝しかないし、勝利くんのあの暴力的なまでに整ったお顔が、SexyZoneの中心でふにゃりと緩む瞬間を、一分一秒でも長く見詰めさせていてほしい。

 

勝利くん、アイドルになってくれて、今もアイドルでいてくれてありがとう。圧倒的感謝。